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家族信託を活用すべき【認知症対策】
家族信託を活用すべきケースとして、認知症対策を取りあげています。なぜ認知症対策に家族信託が活用できるのか、よくある相談事例とともに、目をとおしてみることをおすすめします。
家族信託で認知症対策するメリット
高齢化社会が加速度的に進んでいる現代社会において、認知症はだれもが当事者として直面する問題となっています。認知症は、単に物忘れがひどくなる、といった問題にとどまりません。
たとえば、親が自宅やアパートなどの不動産を所有したまま認知症が進行し、十分な意志判断能力を失ったとします。すると、家族であっても親名義の不動産を勝手に管理・運用できなくなってしまうのです。成年後見制度を活用すれば、親の利益になると裁判所が判断した場合に限り、売却することなどができますが、必ず認められるものではありません。
しかし、家族信託であれば、不動産も処分・売却するも、収益物件として活用するも自由。受託者を選ぶのも自由ですから、成年後見制度のように後見人に誰が選ばれるかわからないというリスクもありませんし、委託者の意志をそのまま反映できるのでトラブルも少なくなります。
まだ心もからだも健康なうちから今後のことを決めておけるため、家族信託は認知症に効果的な対策といえるのです。
家族信託、どこにお願いすればいいかわからない。くわしく家族信託の制度や解決策を知りたい場合は、無料相談ができる事務所かどうかにも注目してみてください。
認知症対策でよくある相談事例
認知症は身近な問題だけに、認知症対策にかんする相談も日々、増えています。そのなかでも、よくある相談事例をピックアップしてみましたので、認知症対策を検討している方はぜひ参考にしてみてください。
高齢の母が実家で一人暮らしをしている場合(認知症対策)
相談者は資産家の高齢者。不動産などの資産を多く所有していたものの、これといって相続税対策はとってこなかった。あるとき、このまま自分がなくなれば億単位で相続税がかかることを知り、あわてて相続税対策を考えはじめた、というケースの相談事例です。
相続税対策といっても、今日明日に完了するわけではありません。贈与税を嫌って生前贈与しようとすれば、1年に100万円と少しずつしか贈与できませんし、土地を活用するための開発にも年単位で時間がかかります。
そうこうしているうちに認知症で判断能力がなくなってしまうと……、もはや目も当てられないでしょう。処分管理権限がないために、子どもたちは不動産を自由に処分できず、そのまま亡くなってしまうと莫大な相続税が。
このようになる前にしておきたい認知症対策とはどのようなものなか、あわせてチェックしてみてください。
高齢の母が実家で一人暮らしをしている
場合(認知症対策)の
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認知症のふしがある父の代わりにアパート経営を代行する場合(賃貸借契約)
相談者は60代の男性で、80代の父がいます。父は2棟のアパートを所有していますが、最近になって物忘れがひどくなり、認知症の兆候が現れてきました。相談者は50代の妹と一緒に入居者の賃貸契約書の代筆をするなどしていますが、今後認知症が悪化していくことを考えると将来が不安です。
物件の所有者が認知症になり、十分な意思判断力を失ってしまうと、賃貸契約や大規模な修繕ができなくなります。では、家族信託を用いてこうした事態を解決することは可能なのでしょうか。
認知症のふしがある父の代わりに
アパート経営を代行する場合の
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認知症になったら自宅を売却して施設への入所費用に使う場合
相談者は不動産として所有している自宅で一人暮らしをしています。まだ認知症の兆候はないものの、将来認知症になってしまったことを考えて、自宅を処分してその費用を老人ホームへの入居費用に充てようと考えています。
しかし、相談者は物件をどのような方法で売却すればいいかわかりません。成年後見制度という手段はありますが、売却許可が降りるかどうかはわかりません。では、どうするのがよいでしょうか。
認知症になったら自宅を売却して
施設への入所費用に使う場合の
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配偶者が認知症になってしまった場合(認知症対策)
相談者は62歳の男性で、81歳の父と83歳の母がいます。母は重度の認知症で施設に入所しており、父は不動産を所有しています。その不動産は、相続の際には相談者に相続するつもりで、すでに成年後見人として司法書士を指定しています。
しかし、この状態だと遺産分割協議の際に、認知症の母に代わって成年後見人が参加します。そして、父の生前の意思に関わりなく法定相続分での遺産分割を請求してくることになるのです。この状態を解決するためにはどうすればいいのでしょうか。