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家族信託の対象となる財産とそうでない財産の違い

家族信託は高齢の親が所有している財産を、親が認知症になったり亡くなったりした後に管理・運用できなくなる事態を防ぐために有効な制度です。しかし、一口に「財産」と言っても、財産にはたくさんの種類があります。財産の中には、家族信託における信託財産として扱えないものもあるのです。ここでは、信託財産として扱える財産とそうでない財産の違いを見ていきましょう。

すべての財産を信託財産にすることはできない

所有者がなくなったり認知症になったりしたときに備え、家族にその管理を任せられるようにするのが家族信託の仕組みです。しかし、すべての財産を信託財産とすることができるわけではありません。

家族信託においては、親の所有する財産のうち、受託者に管理・運用を任せる財産を選択することになります。そこでは、信託できる財産とできない財産を選択しなくてはいけません。

信託できる財産

基本的に、財産上の価値があるものは信託財産とすることができます。家や土地などの不動産物件、現金、有価証券などのほか、金銭的価値のある骨とう品や絵画、車やバイクなどの乗り物、家畜やペットなども信託財産とみなされます。また、会員制クラブの会員権といった形のない権利も信託財産とすることができます。

信託できない財産

家族信託ができないケースでも、事前に対策を行えば財産として得られる可能性もあります。一般的に家族信託ができない財産と、対処法について簡単に解説いたします。

農地

信託財産とすることが困難なものとしては、農地が挙げられます。土地の中でも、登記上の地目が「田」や「畑」になっているため、なんの対策もしていないと家族信託として運用・管理することはできません。

農地を信託財産とするには農業委員会への届け出と許可が必要になります。この許可を得ずに農地を信託財産としようとしても効力を発揮することはできません。

上場株式

上場株式も信託財産とすることが難しい財産です。

理論上はまったく不可能というわけではありませんが、現状では信託口口座の開設に対応できる証券会社が少ないことが理由として挙げられます。株式を信託財産として扱ってくれる信託会社はほぼないものと思ったほうがいいでしょう。

ただし、未上場の株式であれば、受益者を指図権者に指定することで権限を移すことは可能です。

上場株式の場合も、認知症による問題が現れる前に、証券会社へ代理人届を提出することで、株式を管理できなくなるというリスクを回避できるでしょう。

配当される上場有価証券によって生活費の一部をまかなっているという人も多いはず。高齢の親が株式を有している場合、もしものことを考えて事前に対策をする必要があるのです。

預貯金

原則的にお金自体は信託することは可能です。問題なのは預貯金、つまり銀行口座に預けているお金の場合、家族信託を行うことができないのです。

銀行口座は基本的に権利を譲渡できないため、家族信託によって名義を移せません。預貯金を家族信託で管理するには、銀行口座が凍結される前にお金を下ろす方法が挙げられます。お金を預けている当人が認知症と診断された場合、または亡くなってしまった場合、凍結されてしまいます。口座が凍結されるとお金を引き出すことができなくなるため、事前にお金を下ろしておくと対策が行えます。

ただし、この方法はお金を引き出すことで、他の共同相続人との間でトラブルに発展することもあるため、注意が必要です。

また、国内ではまだまだ普及はしていないものの、家族信託専用の口座を作れる銀行を利用するのも一つの手段でしょう。

信託銀行での対策は?

信託銀行で扱える信託財産は、基本的にその銀行に預け入れがされている預金債権です。預金債権以外で信託財産として扱える財産としては、生命保険信託があります。ただ、信託財産とすることを希望される財産は圧倒的に不動産物件が多いので、財産の多くが不動産物件以外の財産である場合には、家族信託ではなく、信託銀行や信託会社を介さない民事信託などの制度を利用したほうがいい場合もあります。

事例から学ぶ
カンタン家族信託
司法書士

親が認知症になり資産運用を引き継ぎたい、二次相続以降を自分で細かく決めておきたいなど、家族信託を最大限活用するための事例を集めました。