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高齢の母が実家で一人暮らしをしている場合(認知症対策)

高齢の資産家が認知症になってしまったときのリスクや、それを回避する相続税対策とはどのようなものなのか。実際の相談例から、具体的な対策についてみてみましょう。

相談ケースの説明

代々、地主の家系の相談者。年齢は80歳を超えるものの、これまで相続税対策についてはとくにしていなかった。ところが、いま相続が発生すると、なんと数億円もの相続税が課税されることが判明。相続税が払えないと、資産を差し押さえられる可能性が。

推定相続人は長男と、嫁いでいる長女、次女の3人がいて、さすがに相続税対策としないとと思い、数年かけて不動産を開発したり処分したり、生前贈与したりすることを検討。しかし、いずれも数年かかるため、そのうち認知症で判断能力がなくなれば計画そのものがとん挫してしまう可能性があるので、どうすればよいのか逡巡している。

認知症の相談ケース1

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解決策

贈与税のかからない家族信託

このケースで、有効な方法をひとつあげるとすれば、それは家族信託でしょう。たとえば、長男を受託者としてほとんどの不動産を信託財産として信託します。そうすることで、所有権は手放さずに不動産の管理・処分権限を長男に移すことができるのです。

生前贈与のように贈与税も課税されませんし、不動産を無理に処分してしまう必要もありません。相談者が亡くなった時点で信託を終了させ、財産を長男に帰属するように決めておけば遺書と同じ効力を発揮し、そのまま相続させることもできます。内容を自由に取り決めできるのが、家族信託のメリットです。

他家に嫁いでいるという長女、次女には現預貯金などの資産を相続させるように取り決めておけば、相続トラブルを避けることもできます。

長男は「所有者」ではないため、課税されない

なぜ、家族信託だと課税対象とならないのでしょうか。それは、このケースを例にとると、長男は不動産の「所有者」になるのではなく、「受託者」になるにすぎないからです。

受託者は、親である委託者から「信託財産を管理する権限」を任されただけの状態。そこに不動産の譲渡は発生しませんから、譲渡益も発生しません。ですから、生前贈与のように課税されることもないのです。

しかし、不動産を売却したり物件を改築・修繕したりという行為は、長男の意志ですることができます。つまり、実質的には長男が所有している状態と同じだというのが、家族信託の特徴だといえるでしょう。

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