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空き家対策に家族信託を行う必要はありますか?

現代社会では、高齢化が急速に進行しています。これによって、さまざまな社会問題は引き起こされています。そのひとつが、ここで取り上げる空き家の増加です。高齢となった親が認知症になって老人ホームへ入所したり亡くなったりすることで実家が空き家になってしまうと、さまざまな問題が生じます。そうした問題を解決するために有効なのが家族信託なのです。

家族信託で空き家を有効活用しよう!

居住・管理する人がいなくなった空き家は、その所有者が認知症で十分な判断能力をなくしていたり、亡くなっていたりすると処分することもできなくなってしまいます。どうすることもできず、そのまま放置するしかないケースが増加していることが現在大きな問題となっています。

そこで注目されているのが家族信託。家族信託を活用することで、空き家を資産として運用することができるようになるのです。

家族信託の仕組み

通常、預貯金や不動産といった財産は、その所有者が認知症になると凍結されてしまいます。しかし、事前に家族信託を行うことで認知症になってしまう前に財産の管理・運用を家族に託しておくことができるのです。

家族信託は、以下の3者によって構成されます。

  • 委託者:自身の財産の管理・運用を委託する立場
  • 受託者:委託者から財産の管理・運用を委託される立場
  • 受益者:財産から生じる利益を受け取る立場

家族信託では、親が委託者兼受益者となり、その子供をはじめとする親族が受託者となる形が一般的です。受託者は息子や娘であることが一般的ですが、甥や孫でも受託者になることは可能です。契約の際には、司法書士事務所などで専門家を交えて信託契約の内容を決定します。この際に、信託の目的、受託者をだれにするか、信託財産の管理・運用方法、信託の終わらせ方などについて話し合っておきましょう。

信託契約のタイミングは、親が重度の認知症になる前に行う必要があります。認知症が比較的軽度の状態であれば、十分な判断能力を有しているので、症状が悪化する前の備えとして行っておきましょう。そうすることで、万が一症状が悪化してしまった後でもその財産を受託者によって適切に管理・運用することができるようになります。

住居を空き家として放置してしまっては、せっかくの資産価値をムダにすることにつながります。もしものことを考え、あらかじめ家族信託を行うことで、財産として適切に扱えるようになるのです。

家族信託、どこにお願いすればいいかわからない。くわしく家族信託の制度や解決策を知りたい場合は、無料相談ができる事務所かどうかにも注目してみてください。

高齢化に伴う空き家の増加

2018年時点のデータによると、日本全国に存在する空き家の数は849万戸に上り、その占める割合は、全住居の13.6%となっています。空き家にも種類があり、大きく分けると以下のようになります。

  • 賃貸住宅:新築・中古問わず賃貸を目的として空き家になっている住居
  • 売却用:新築・中古問わず売却を目的として空き家になっている住居
  • 二次的住宅:別荘、一時的な寝泊まりなどに使用するため普段は空き家になっている住居
  • その他の住宅:上記3種類以外の長期にわたって居住者が不在となっている住宅

空き家問題の対象となっているのは、このうち「その他の住宅」です。ただ放置されているだけの住宅である「その他の住宅」は年々増え続けており、1978年時点では空き家のうち「その他の住宅」は36.5%だったのに対し、2018年には41.1%にまで増加しているのです。今後、この数字はさらに増加していくことが予想されています。

空き家の増加はどんなトラブルを招くのか

空き家が増加していくと、その周辺にはさまざまな悪影響を及ぼすことになります。ここでは、空き家の増加がもたらすトラブルについて見ていきましょう。

破損によって周囲に危険をもたらす

空き家は管理者がいないので、放置しているとどんどん老朽化していきます。そして、老朽化した建物は、屋根瓦の落下や窓ガラスの破損を引き起こしたり、ひいては倒壊したりすることで近隣住民に危害を加える危険性があるのです。通常時はもちろんのこと、台風や地震などの災害時にはその危険はさらに高くなるでしょう。

治安の悪化

居住者がいない空き家の増加は、不法侵入や放火の増加といった犯罪を招きます。ほかにも、人目につかない場所ということで違法薬物の使用や売買、性犯罪に使われる可能性もあるでしょう。空き家の増加は治安の悪化にもつながりやすいのです。

近隣住民とのトラブル

空き家の敷地内には、しばしばごみの放置や不法投棄が行われることがあります。また、野良猫などの死体が集まることもあるでしょう。放置すると悪臭で周囲に被害が出ることがあります。

また、敷地内に植物がある場合は、手入れをする人がいないので伸び放題になり、近隣の敷地内にはみ出してしまうこともあります。このように、空き地の存在はさまざまな近隣トラブルを生み出すことになるのです。

景観の悪化

どんなに美しく整備された街でも、空き家があるだけでその景観は崩れてしまいます。屋根がつぶれていたり窓が割れていたり、植物が伸び放題になっているような空き家は1件あるだけで景観に大幅な悪影響を及ぼします。さらに、空き家の周辺は通行人も減ってしまい、治安も悪化していきます。

放置すると訴訟されるリスクも

近隣住人へ悪影響をもたらす空き家は、放置すると法的な手段を取られる恐れもあります。訴訟などのリスクを避けるためにも、所有している物件は適切に扱う必要があるのです。

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